固定資産回転率とは
固定資産回転率(Tangible Fixed-Asset Turnover Ratio)とは、保有する固定資産をいかに効率的に活用しているかを示す指標であり、売上高と固定資産の比率で表されます。
固定資産とは次のような資産を指します。
有形固定資産 → 土地建物・機械設備など
無形固定資産 → 特許権・ソフトウェアなど
その他の資産 → 株式・会員権などの
このような会社の固定資産を活用して、どれだけの売上高を計上出来たかを示す指標が固定資産回転率なのです。
固定資産回転率:会社の固定資産をいかに効率よく活用しているかを示す指標
固定資産回転率の計算
固定資産回転率の計算式は次の通りです。
固定資産回転率(回)=売上高÷固定資産
固定資産が2億円相当ある企業の売上高が10億円であれば、固定資産回転率は5回(10億円÷2億円)になります。
みんな大好き明治ホールディングスを例に固定資産回転率を求めてみましょう。
※画像を選択するときれいに見れます。
明治の損益計算書に通期(1年間)の売上高が記載されています。売上高が12,527億円ですね。
そして貸借対照表で固定資産を確認すると、5,817億円相当の固定資産を保有していることが分かります。
そのため、明治ホールディングスの20年3月期の固定資産回転率は2.15回(12,527億円÷5,817億円)のなります。単純ですね。
固定資産回転率の目安
業種・業態にもよりますが、一般的に固定資産回転率は3回以上あると固定資産を効率的に活用していると評価されます。
中小企業庁が公表している中小企業実態基本調査では産業別に保有する平均固定資産と平均売上高の記載がありました。そこから固定資産回転率を計算したので、一つの目安になると思います。
固定資産回転率 | |
建設業 | 3.63回 |
製造業 | 2.31回 |
情報通信業 | 2.95回 |
小売業 | 3.81回 |
不動産業 | 0.53回 |
飲食サービス業 | 1.39回 |
全産業 | 2.40回 |
中小企業の固定資産回転率は2.40回なので、やはり3回以上あると効率的な経営を行っていると言えるでしょう。
固定資産回転率は3回以上あると効率的な経営を行っている
固定資産回転率の見方
大規模な設備投資がある場合に注意
固定資産回転率を用いて比較分析を行う場合は注意が必要です。
一方の企業が事務所や工場の新設などを行って固定資産が一気に増加した場合、固定資産回転率が大きく低下してしまうからです。
積極的な設備投資(固定資産の増加)は企業の成長要因なのにも関わらず、固定資産回転率の低下で評価を下げるのは適切ではないでしょう。
固定資産の中身に注意
固定資産には不動産や機械設備が含まれますが、特許権やソフトウェアなどの無形固定資産も含まれます。
IT企業やサービス業の場合、貸借対照表上では固定資産が少ないように見えますが、企業を支えている技術・知見が固定資産に含まれているかもしれません。
このような無形固定資産を含めたくない場合には注意が必要です。